バイオディーゼル燃料

障がい者の賃金アップにつながった

精製されたBDFと
精製されたBDFと
杉並区で障がい者のグループホームを運営するいたるセンターの作業所で廃油からバイオディーゼル燃料(BDF)を作っているところを見学に行ってきました。そこではスタッフが1名、知的障がいをもつ方が2名、寒い外で作業をされていました。現場は回収された廃油が入ったタンクがいくつも置かれていました。

この廃油、現在は区内の公立小中学校44箇所と協力してくれる飲食店などから回収しているとのこと。ここで1ヶ月に生み出されるBDFは2000L程。来年度は操業日を増やして3000Lを目指すそうです。

このBDFの販売先はリボーンというエコツアーを企画している団体です。農業体験のツアーに行くバスなどにこの燃料が使われています。そちらのパンフレットを見ると都市近郊の持続可能な循環型のライフスタイルを実践している場所や団体を見学するツアーは魅力に溢れていました。

いたるセンターではこのBDF事業を始めたことによって、作業をする方達の1月の手当てはそれ以前の2〜3千円から平均で1万8千円ほどになったそう。このようにBDF事業はたくさんのメリットがあります。

今後の課題としては、販路の拡大。リボーンはツアーがたくさんある春、夏、秋は全量を買ってくれますが、冬の時期はツアーが少なく全量を買いとることができません。そんなときは精製作業ができず、回収した廃油を他の業者に引き取ってもらうこともあるそうです。BDFは普通の軽油を使用する車で使うことができますが、メーカーはそのために車の調子が悪くなったときは責任は持たないと言っています。いたるセンターでは廃油の回収車にこのBDFを使っていますが、車の整備を良くして、消耗品などもこまめに点検し取り替えることで支障はないと言います。でもお客様にまったく問題はありませんと言って販売することはできません。

杉並区の保有する公用車で使用できないか聞きに行ったところ、今のところそれは難しいという回答でした。お隣の練馬区では家庭から出る廃油を回収、精製し、清掃車2台をBDF専用車として使用しています。杉並区もぜひ新しいことにチャレンジしてほしいと思います。