区内の農地を守りたい! 畑が与えてくれるさまざまな恩恵を考える

沖縄のしまトウガラシはかわいいけど激辛!杉並でつくられているのはここだけです。

 杉並区の清水で農業をしている井口さんの畑を見学し、お話を聞きに行って来ました。
 

 畑にはまだ芽を出したばかりのほうれん草、小松菜、大蔵大根、夏を越してもまだとれているナスが並んでいました。大蔵大根とは世田谷の地名がついた大根ですが、本当はこの辺りが産地の地元大根だそうです。

農薬の臭いがきらいだから使わないという井口さん。虫がつかないように様々に工夫されていて、畑の野菜たちはどれも手をかけ大切に育てられていることがわかりました。

 都市の畑は野菜を収穫すること以外にもさまざまな恩恵を与えてくれています。夏のアスファルトは都会をより暑くしますが、畑は空気を涼しくしてくれるし、雨を受け止め浸透させて洪水も防ぎます。畑の上には大きな空がひろがり通る人の気分だって良くしてくれます。

 現在、災害対策は自治体の最重要課題のひとつですが、畑は災害時にはさらに重要な役割を発揮します。まずは貴重な野菜を提供してくれます。そこには井戸もあり、畑の下には防火水槽も設置されていて、近くに立てられた倉庫には放水ポンプが収められています。

広い空間は逃げ場にもなるし、延焼を止める緩衝地帯にもなります。また井口さんは非常時には一時的に仮設住宅を建てるのに畑を使ってもらってもいいとまでおっしゃっています。

 しかし、農地は年々減ってきています。理由は相続税だそう。無農薬で大切に野菜をそだて、その価値を認め買ってくれる人もたくさんいるのですが、それでも農業での1年の売り上げは経費を抜かないで70万円ほどとのこと。今はアパートや駐車場の収入で生活をしていますが、相続が発生するとその土地に重い税金がかかり、物納するときには土地を更地にする必要があるので、どうしても農地を手放さざるをえないという話です。

 放っておけば時間と共に貴重な農地がどんどん失われていってしまうのです。井口さんはまずは多くの人にこの事実を知って欲しいと言います。これは隣の練馬区や世田谷区も、都市農業が共通に抱える問題です。広域でともに学び連携してこれを守るために行動したいと強く思います。