予算特別委員会質疑より⑤ 子どもを被害者にも加害者にもしないために区がすべきこと

杉並で脱原発の活動を展開するふくしまゆみこさんと

川崎で殺害された中学1年生は、友人には「グループを抜けたい」とか「殺されるかもしれない」という話をし、SOSを発信していました。暴力を受けていたことを周囲の多くの子どもは知っていたのです。しかしその情報と深刻さが大人には伝わっていなかったことが、その子を救えなかった原因のひとつだと思います。

 中学生が、ひとり親で忙しく働く母親に心配をかけたくないと思い平静を装っていたらしいことも報道されています。母親だからこそ本当のことが言えなかったのです。でも親や学校の先生に言えなくても、他人になら言えることはあると思います。

 子どもが相談しやすいところにホンネが言える、適切な大人がいることが大切です。この中学生が電話相談などにアクセスしてくれていれば、大人が救い出すことができたのではないか、と思います。ゆうラインやいじめ電話レスキュー、チャイルドラインのカードは確実に子どもの手に渡っているか、区に確認しました。

 そしてそれらのカードは子どもがいつでも手に入りやすいところに置かれているか。また、子どもにかかわる大人はそういう仕組みがあることを知っているか。そのことも区に問いました。

 被害者は、小学6年生のときに島根県隠岐諸島の西ノ島から引っ越してきた子でした。転校生については、いじめにあいやすいなど特に目をかける必要があります。また地域に慣れていなかったり、周囲の大人にまだ知られていなかったりするため、大人にアクセスできる機会はできるだけ多い方がいい。相談できるしくみがこんなにある、ということを確実に知らせたいと思います。学年の途中で転校してきた子にはそういうカードを「転入生に渡すセット」の中に入れてほしい、ということを要望しました。

 今回は、もっと早い段階で警察や他の機関が関わっていれば、彼の命は助かったし殺人者を生まないですんだかもしれないと思えてなりません。飲酒して暴力をふるうなど反社会的な行動をとる子どもに関しては、警察やもしかしたら医療機関につなぐことも必要だと思います。そのような相互の連携はどのようにとられているか、区に確認しました。

 捜査が進んできて、事件の背景が少しずつ明らかになり、加害者の環境にも問題があったらしいことがわかってきました。子どもを被害者にも加害者にもしないため、区が子どもを必ず守る、という決意を確認しました。