不登校はいのちを守る手段

善福寺川にいるカルガモの親子。見るたびにどんどん大きくなっています。

善福寺川にいるカルガモの親子。見るたびにどんどん大きくなっています。

以前に参加したチャイルドラインの公開講座で、東京シューレ代表の奥地圭子さんの話を聞く機会がありました。奥地さんは教師をしていましたが、お子さんが不登校になり、不登校の子どもが過ごす場所がないことを知り、教師を辞職して東京シューレを立ち上げた方です。

自分が子どものころを思い出すと、親とそれについて話したことはありませんが、子どもが学校に行くのは当然で、病気の時以外は休んではいけないと思っていたと思います。学校でいじめられたこともありましたが、いやだなぁと思いながら、それでも学校には行くものだと思って行っていました。

奥地さんの話は、それまでの自分の漠然と持っていた学校は行かなければならないところという考え方を明らかにし、それが時には子どもを追い詰めることがあることに気づかせてくれるものでした。

子どもは、学校は行かなければならないところだと思っているため、学校にいけない自分を認められなくなってしまう。学校という過度に競争的な教育の中で子どもはストレスを抱え込み、ストレスのはけ口としていじめが起こる。国連子どもの権利委員会も日本で過度な競争があることについて勧告を出している。いじめられて学校に行くのがつらくても、自分も親も学校は必ず行かなければいけないところだと思っていると、死ぬことしか道が無いと思い詰めてしまう。

子どもがつらいとき、家庭は安心して子どもが休める場所になることが大切ということに共感し、そうなりたいと思いました。無意識に子どもを追い詰めてしまう前にこの話が聞けて本当に良かったと思います。そして、ひとりでも多くの保護者にもこの話を聞いてほしいと思いました。

昨年、内閣府の調査で18歳以下の日別自殺者数は9月1日が特出して多く、次いで春休み明けやゴールデンウィーク明けに多いことがわかり、大きな反響がありました。先日、教育委員会に、子どもに接するスクールカウンセラーや養護教諭、教育相談員は状況に応じて「つらいときは学校を休んでもいい」ということを言えるような環境になっているかどうかを聞いたところ、大丈夫だと回答をいただいて安心しました。

今月9日に国会に不登校対策と言われている「教育機会確保法」案が提出されましたが、急きょ審議が行われないことになったと知りました。この法案は、不登校の子どもを追い詰めることになるとして、当事者団体から多くの撤回を求める声が上がっていたので、強硬に決まることがなくて良かったのだと思います。多様な方面から、子どもが生きやすい社会をつくっていきたいと思います。