区内の乳児院を視察しました

聖友乳児院(杉並区阿佐谷北)の前で

阿佐ヶ谷北にある聖友乳児院を視察させていただきました。ここでは0歳から基本的に2歳までの子ども約40名が暮らしています。東京都の中には乳児院は10か所ありますが、そのうちの2か所が杉並区内にあります。先日、自分のホームページに特別養子縁組と乳児院のことを書きましたが、実際に乳児院で話を聞きたいと思い視察を受け入れていただきました。

この乳児院に子どもがやってくる理由の約60%が虐待だそうです。2番目に多いのが親の疾病で約20%、3番目が薬物などによる拘留とのこと。その他は様々な理由で家庭や本人の状況が子どもを養育できる環境にないことだそうです。虐待の比率が高くなってきて、緊急に一時保護を受け入れることも多くなっているとのこと。胸が痛みます。

ここには生まれてすぐ病院からやってくる赤ちゃんもいて、その新生児受け入れ枠は3人。この日は定員いっぱいで、ガラス張りの無菌室で寝たり、ミルクを飲んだりしている姿を見せてもらいました。今は出生前診断でお腹の中にいるときにダウン症であることが分かるようになり、親がそれを受け入れられなくて乳児院に来るケースもあるそう。ミルクを飲んでいた赤ちゃんはダウン症だとわかりました。改めて、社会で子育てを支える重要性、インクルーシブ教育の必要性など考えさせられました。

厚労省は乳児院への措置をなくしていく方向を打ち出し、里親委託率を75% に上げる高い目標を示しましたが、実態とかけ離れた数字に現場からの反発もあり、目標達成を求めないことにした経緯があります。大きい施設より家庭に近いグループホームなどでの養育も求められています。そこで大きい施設と小さい施設、それぞれの良さを教えていただきました。小さい施設はより家庭に近いこと、感染症が流行っても少人数にしか感染が広がらないことなどのメリットがある一方、職員の数が少なく一人で対応することも多くなるため、大変な子どもがいるときに新人職員がつぶれて辞めてしまうことがある。大きな施設は職員が多く、対応が大変な子がいても、数人で対応でき、新人がベテラン職員から学ぶことができるというメリットがあるということで、なるほどと思いました。

この乳児院では子どもの担当職員が決められており、普段お風呂に入れるときは職員が着衣したまま2~3人を一度に入れるけれど、情緒が安定しない子どもがいれば、担当職員が裸でその子ども一人をお風呂に入れコミュニケーションをとるなど、時間が無い中でもできるだけの配慮をされていることがわかりました。

私はできるだけ早い段階での特別養子縁組を進めるべきと考えていますが、今回の視察を通して、乳児院の果たす役割の大切さも改めて認識することができました。