新たな税で豊かな森を取り戻そう 一般質問より
今年9月に一般質問で取り上げた森林環境譲与税を活用し天然林を取り戻すことについて書いておきます。
日本国内の森林は、戦後の拡大造林政策により,山の頂上付近までびっしりと杉やヒノキが植えられましたが、海外からの安い輸入品に押され国産材の需要が減り続け、切り出しても採算が合わないという状況から、放置されることになりました。放置された人工林は暗く、下草も生えず、山の保水力を低下させ、豪雨や台風の際の土砂災害を多発させています。また、みのりのない森は野生動物の生息地を消失させ、花粉症患者の増加など多くの弊害を発生させています。
改善が急務として創設された森林環境税が徴収されるのは2024年からですが、それを自治体に配分する森林環境譲与税は今年度から杉並区にも2000万円が措置されています。徴税のしくみに課題が指摘されていますが、水源涵養(かんよう)や災害防止、生物多様性の保全など森林の恩恵はすべての国民に及ぶからこそ全国民が負担する税なのだから、それは目的に沿って有効に活用してほしい。
東京都でも島しょ部を除くと、人工林率は60%を超え、その多くが放置され荒廃しています。 東京都が2016年に行った花粉症実態調査では都民のスギ花粉症患者の割合は48.8%という驚きの結果からも、なんとかしたいものです。
中央区では2006年から、桧原村と協定を結び村有林を中央区の森として整備を行っているそうです。もともとはスギやヒノキの人工林だったものを8割ほど伐採し、その後に広葉樹を植えて天然林化を図っているそうです。作業は地域のNPOに委託し、区民は植林ツアーなどで森の作業を体験しているそうです。また村内の民有林とも協定を結び健全な森を維持するために森林組合が行う活動を中央区が支援し、その作業を区民が体験し、森のことを学ぶ機会を提供しているということです。これを始めた目的は地球温暖化対策、区民の意識啓発や森や木材への理解を深めるためで、森林環境譲与税をこの活動にも使うということでした。
杉並区でも交流自治体の青梅市や東我妻町には杉並区民の飲み水となっている水源林があるのですから、ぜひ協定を結び杉並区民の森として天然林化を行い、区民がその森とかかわる活動ができるよう、区に提案しました。
豊かな森を再生させるためには、一人一人が、森の役割や大切さ、現在の日本の森の危機的状況を学ぶことも大切です。未来の社会に生きる子どもたちに、教室や野外で、森林学習を行い、森林を大切にする人を育てることは、豊かな森林を再生し、守っていくために必要なことから、学校で行っている環境教育の中に森林学習のプログラムを入れるよう求めました。