「ミツバチの羽音と地球の回転」自主上映会報告 その2

原発推進派VS反対派ではない第3の道への希望

右がカヤック隊の小林エレキさん
右がカヤック隊の小林エレキさん
20日「ミツバチの羽音と地球の回転」上映後、エレキさんに映画の中にも出てきた虹のカヤック隊で、祝島の方達と共に原発建設の阻止行動をしてきた体験を話してもらいました。
エレキさんは19歳で、自転車で旅をしていて祝島を訪れ、そこの持続可能な暮らしに感激し上関原発への抗議行動に加わるようになったそうです。

具体的な阻止行動は、埋め立てや地盤整備のために中国電力が出す、大きな台船が作業の現場に入れないように漁船で止めるというもので、昼は主に祝島の人が担当し、夜はカヤック隊が見張りをするという役割分担になっているそう。

台船とカヤックが至近距離で対峙する中で、中国電力の人は「どいてください」としか言ってはいけないと決められていたようで、エレキくんが何を言っても返事はそれしか返ってこない。でも中に泣きながら「どいてください」と言っていた人がいたそう。それが言葉を制限されている彼の精一杯の自己表現だったと受け止めたということ。

また、カヤックが海上保安庁の船に囲まれて動けなくなったときに、祝島の人の船に弁当を届けたい、と言ってねばっていたら、じゃあ上にかけ合ってみます、と言われた。何日も弁当を届けようとするカヤック隊と、それを阻止する海上保安庁の船がやることがなく会話をかわしたりしながら対峙していたが、あるとき弁当を届ける申請が通ったのを「弁当届ける申請が通りましたよー!」と喜んで報告してくれたそう。

祝島の人たちは反対運動のために生活を犠牲にしてきて、子育てを満足にできなかった後悔があったり、そんな中で中国電力を心底憎んでいる人もいます。でもエレキくん達のように外から応援にいったカヤック隊は、いやになったら他に住む場所もあるという意味で本当の当事者ではない。原発建設を推進する人たちを心底憎むこともない。そんな位置にあるからこそできることがあるということを語ってくれました。

反対し対立することを超えて交流し、誰にとってもいい道を探る、例えば映画で示されたスウェーデンのような方法をとることができる、そんな希望が見える本当に貴重なお話をしていただきました。

また、杉並で地道な省エネの啓蒙活動を続けてこられた地域エネルギー協議会の寺田加代子さんには、問題を自分に引き付けて考えることの大切さ、自分の暮らしからできる省エネについてお話いただきました。これは都会ですぐにできる、一番効果のある取り組みです。

この上映会をきっかけにさまざまな繋がりが生まれ、それが大きな実りになることを心から願い、私も活動を続けていきます。