そこには“1回目の上映は貸切りのため、一般の方は2回目、3回目にご覧ください”と書かれていました。友人から良いと聞いていた映画だったので、貸切りの回に観せてもらえないかと問い合わせました。すると「1回目は化学物質過敏症の方とその家族のための時間ですが、洗濯に合成洗剤と柔軟材を使っていない方はいらしてください」というお返事をいただき、観に行けることになりました。
化学物質過敏症という病気があります。
現代の生活の中には化学物質が溢れています。家を作っている合板、接着剤、プラスチック、農薬、タバコ、合成洗剤等々、数え上げればきりがありません。
映画に出てくる早苗さんはそれらが回りにあることで、呼吸困難を起こし、命が危険にさらされるため、きれいな空気を求め母親と車で旅にでます。病院は化学物質があふれているため、近づくことができません。二人は標高1000メートルの山の中でテント生活を始めます。でも、ある日そこにも農薬の風が吹き、二人はそこを出て行くことになります。
早苗さんがある日水が飲めなくなり、命が危なくなったとき、早苗さんを救ったのは、木村秋則さんが17年の苦労の末に無農薬、無肥料で実らせた林檎でした。
また、入江茂弘さんは小学校時代に、母親が先生に病気のことを説明し理科室には入れないでと伝えたのに、先生は茂弘さんを理科室に連れて行き、その夜茂弘さんは呼吸困難の発作を起こすことになりました
この上映会が行われた施設のオーナーは、病気に理解があり、掃除に石鹸を使用してくれているため、病気の人たちがこの場所に入ることができるということでした。
現在この患者は全国で70万人とも90万人とも言われています。
自分の無知が、時にはこの病気の人たちを苦しめる加害者になるということを知りました。
今私達は、どこへ逃げても逃げ切れない放射能汚染にさらされていることと、この映画に出てくる人たちの姿が重なって深く共感しました。
私は、この患者さん達が安心して住める社会を作ることが、自分達をも守り、持続可能な社会を作ることだと実感しています。弱い立場にある人たちは、私達に、命を大切にする社会とはどういうものなのか、どうやってそれを作るかを教えてくれる教師なのだと思うのです。