映画「普通に生きる」を観て

重度の障がい児の居場所づくりのドキュメンタリー

先輩議員小松久子さんに勧められて、映画「普通に生きる」をポレポレ東中野の上映最終日に観に行ってきました。

重度の心身障がい児たちは親たちが長年かけて作った施設“でらーと”で20歳の成人式を迎えていました。親たちは、時にはこの子と一緒に死のうと考えたつらい道のりを思い出し、この日を迎えられた喜びを涙ながらに語ります。我が子に接する深い愛情に溢れた態度を観て幸せな気持ちになりました。重い障がいを持った子どもたちが、親同士の絆を生み出し、生きる力や愛情を生み出す原動力になったことがわかりました。

“でらーと”は障がいを持った子どもたちが過ごす昼間の居場所です。親たちが必要に迫られ、自分達で作り出しました。
親たちが必要にかられて作った“でらーと”を利用し、親が子どもにかかりきりになるのではなく、自分のやりたい仕事をして、生き生きと暮らしていました。でらーとで過ごす子ども達の笑顔がステキで、何かを生産することはできなくても、そのままで彼らはそこに存在することで回りの人たちに必要な何かを与えていました。彼らが幸せに暮らせる場所を生み出すことが回りにいる多くの人たちの幸せにつながっていました。

私はヘルパーの勉強をしていたときにテキストで目にした「この子らを世の光に」という糸賀一雄さんの言葉を思い出しました。彼は昭和20年代に「近江学園」という重度心身障がい児のための施設建設に取り組み、一生を知的障がいの子どもたちの福祉と教育にささげた、日本の障害者福祉の第一人者です。その彼は「精神薄弱といわれる人たちを世の光たらしめることが学園の仕事である。精神薄弱な人たち自身の真実な生き方が世の光となるのであって、それを助ける私たち自身や世の中の人びとが、かえって人間の生命の真実に目ざめ、救われていくのだ」と語っています。

障がいを持った人たちが普通に幸せに生きられる社会作りが、自殺者年間3万人を超える生きにくくなってしまった日本社会にもう一度光を与えてくれるのではないかと思います。

24日でポレポレ東中野での上映は終ってしまったのですが、どこかで機会があればぜひ多くの人に観てほしいと思います。