「多重債務問題は必ず解決できる」盛岡市の取り組みを視察しました

秋田市の竿燈祭りで使われる提灯の前で

区議会区民生活委員会で盛岡市の消費者行政について、視察に行ってきました。盛岡市では30年前から多重債務問題に力を入れて、地域ぐるみであらゆる角度からその救済に取り組んでいます。

 市は市民に「多重債務問題は必ず解決できる」と伝え、解決にむけて全面的に支援する体制を、他のさまざまな団体と協力して作っています。

それが「多重債務包括支援プログラム」で、税の徴収担当や福祉担当、市民相談担当職員などが多重債務で困っている市民を把握した場合、本人に消費生活センターへの相談を促し、また本人の承諾を得て聴き取った多重債務の状況を消費者センターに連絡し、消費者センターは本人に連絡を取り、相談に来ることを促し、弁護士会などと連携して多重債務を解消するための手だてをとる仕組みです。さらに消費生活センターは多重債務解消結果を担当部署に連絡し、多重債務問題以外の問題を抱えていたり、多重債務整理後の生活再建に心配があるケースは福祉担当課などへフィードバックを行っているとのことです。

 債務整理は弁護士会、ヤミ金融への対応は警察と連携してあたります。また市では債務整理や生活再建のための資金の貸付けも行っており、貸付を実行する消費者信用生活協同組合やいわて生活者サポートセンターとも連携しています。

市が多重債務問題にとりくみ、困窮している市民に支援の手を差し伸べることは基礎自治体として当然のことであり、そのことにより市民の信頼が得られると確信している、とのこと。市民を借金苦から解放し、高利の貸金業者へ支払われている資金を取り戻し、健全な消費生活を確保することは地域の窮乏化防止につながり、それに起因する自殺なども減少させられる。市民生活の安心・安全が確保されることが何より行政が望むところという話があり、それをきちんと実行していることに感心しました。

 さて、東京にも一般社団法人「生活サポート基金」という団体があり、市民のお金が市民を救うための基金と紹介され、私も出資をしています。こちらも、リストラにあったところに急に引越しすることになり資金が必要になったとか、子どもの大学の入学資金が必要など、困った人の相談にのり無理のない返済計画を建て、お金を貸し付けています。この生活サポート基金を立ち上げるとき、盛岡の取り組みをお手本にして、研修に行ったと聞きましたが、全国でも先進的な取り組みを視察できてたいへん有意義でした。

杉並でも行政がこのような団体とつながって、救済制度があることを市民に周知するよう働きかけたいと思います。