生ごみリサイクルで花いっぱいのまちづくり
埼玉県戸田市では、家庭から出る生ごみを花と交換し、そこで障がい者や高齢者の雇用を生み出す取り組みがあると聞き、視察に行ってきました。
まず初めに訪れたのは、戸田市と蕨市が共同で運営するリサイクルフラワーセンターです。ここには家庭から出た生ごみとEMボカシが混ぜられたバケツが持ち込まれます。それを機械で乾燥させ、袋詰めにし45日間熟成させるとたい肥の完成です。この作業は技術がいるため高齢者の方々が担っていました。熟成されたたい肥を使っての土づくり、花の種まきや育てる作業は知的障がいや精神障がい者に支援員がついたグループが担っていました。
家庭には生ごみ専用のバケツとEMボカシが無料で配布されます。そして3か月に1度、24種類の花をこのリサイクルセンターでもらえるという仕組みで、戸田市では1300世帯がこれに登録しています。数としてはこのぐらいが限界で、今は希望者が待機の状態だそう。ここの若い女性のセンター長は大学で園芸を学んだプロで、なるべく市販していない品種や色の花を栽培しているとのことで、もらえるお花がすてきでした。なんといっても素晴らしいのが、障がい者を毎日20名、高齢者を10名雇用し、埼玉県の最低賃金の時給785円を支払っているところです。この財源は市が資源ごみを売ったお金で環境のための基金をつくり、そこから出されているそうです。
このセンターは施設の中で使われている椅子も粗大ごみで出されたものを使用したり、花苗を置く台も粗大ごみのベッドやテーブルをリサイクルして作られたものだったりと、様々な工夫がされていました。さんさんと降り注ぐ太陽のなか、色とりどりの花やみどりに触れ、気持ちの良さを味わいました。
その後市役所に移動し、食堂でランチの後は、戸田市でこの取り組みを進めてきた環境経済部、環境クリーン推進課の専門員の吉田義枝さんの話を伺いました。今、戸田市のごみの分別は17種類です。資源になるごみを徹底的に分別し、質の良いものを業者に高く買ってもらうよう交渉をする。また集まりの悪い資源ごみは、その先の使い道まで考え、それを提案することで高く買ってもらえるようにするなど、熱い情熱を持って仕事に取り組んでこられた様に圧倒されました。
古布の引き取り価格が安かったので、その使い道を考えていたところから発展して屋上緑化プロジェクト「フェルトガーデン戸田」が生まれ、カリフォルニア州バークレイ校にその施工に行くまでになった話は夢物語のようでした。
「フェルトガーデン戸田」とは、ガラスを軽石化したものと生ごみたい肥を混ぜた土の上に、古布をリサイクルして作った厚さ1cmのフェルトを乗せ、そこで芝生を育て、屋上を緑化するものです。オールリサイクル素材を使って、土に比べて軽く、安くできるのが特徴です。この取り組みは、行政と市民のNPOが協働で行い、障がい者や高齢者の雇用も生み出す、また、ごみの減量、屋上緑化による省エネ、街の緑化を進める、一石三鳥にも四鳥にもなるものです。
担当の吉田さんの情熱に圧倒され、はっぱをかけられ、ほぼ1日かがりの長い視察でしたが、やる気と元気をもらって帰ってきました。杉並でもできることを考え提案しようと思います!