陳情審査 高円寺地域の新しい小中一貫校について

11月30日に行われた文教委員会で「高円寺地区小中一貫教育校計画の廃止を求めることに関する陳情」の審議が行われました。

 この計画は杉八小と杉四小、高円寺中学を統廃合して、高円寺中学の敷地に新しい小中一貫校をつくるというものです。この計画に反対する地域の方たちが1000名を超える署名とともに、この計画の廃止を求める陳情を出しました。

委員会の質疑で、この学校の計画づくりにあたって2009年から話し合いが始まり、これまでに100回以上の説明会が行われてきたことを確認しました。現在は学校関係者、保護者、町会関係者などからなる新しい学校づくり懇談会が設置され懇談会は14回開かれ、校舎やプール、体育館の配置案が出され、今定例会にこの学校設計のための補正予算の審議が行われるところまで話しが進んでいます。

 陳情者の方たちの話を聞くようになってから、改めて地元の方の意見を聞いたり、杉八小、杉四小、高円寺中学を見にいき、その周辺を歩いたりしてみました。大きな道路を渡っての通学が不安だとされていたことについては、学校希望制のもとで、すでに小学生が青梅街道や環七を渡って通学しているケースが普通にあったことがわかりました。

 陳情者の方が述べている、小中一貫校になると小学校の5年、6年生がリーダーシップを発揮する機会が奪われ、自己有用感が持てないという話は確かにあるのかもしれません。文部科学省の掛け声のもと、全国で始まった施設一体型の小中一貫校については、まだ先行事例の検証がされておらず有効性がわからないというのが正直なところです。

 このシステムが陳情者のいうように救いようのないものなのか、私立の小中一貫校に子どもを通わせているお母さんにも話を聞いてみました。公立との違いはありますが、小学生が中学生と仲良く交流するための仕組みがいたるところに設けられていて、小学生はあこがれの中学生を見て中学生になるのを楽しみにしており、良い効果があると思っているとのこと。やり方によっては良い効果を生むこともできるのだと感じました。

 結局、この陳情に対して区議会いのち・平和クラブとしては、多くの署名があることから、陳情者の願うように、地域の人の意見を聞いて計画を進めることを求め、趣旨採択を主張しました。しかし趣旨採択は少数で否決されたため、改めて採決に加わった後は、ここまで進んだ計画の廃止を求めるのは難しいことから不採択としました。

 このことがあって、私はいろいろな人に、小中一貫校に対する意見を聞いてみました。採決が終わった後でしたが、何度もPTAの役員をしてきた方に、子どもは順応性があるから施設が別でも一緒でもどちらでも育つ。大人がこうでなければならないと決め付けて議論をするのではなく、あなたたちだったら大丈夫と、子どもたちを信じエンパワーすること、新しい学校がうまくいくよう力をつくすことが大事なんじゃないかと言われ、その通りだと思いました。施設一体型の学校を次々に進めるのではなく、地域の声を聞きながらやってほしいという考えに変りはありません。しかし、すでに計画が進んでいるところには良い提案ができるよう、これからも学んでいきたいと思います。