HPVワクチン薬害訴訟傍聴記 原告さんの本人尋問

東京地方裁判所の前で被害を訴える

HPV(子宮頸がん)ワクチン薬害裁判は何度も傍聴しましたが、今回初めて原告さんの本人尋問を傍聴しました。

この日に法廷に立ったのは2人の原告さん。先ずは原告側の弁護士の質問に答える形で、原告さんがこれまでの体験を述べます。3回の接種の後、呼吸をするとうずくまるようにあばらが痛み、股関節の痛みは足がちぎられるようだった。痛みとともに力が入らなくなって立っていられなくなった。手に力が入らなくて箸が持てないこと、ペットボトルのふたが開けられなくなった。学校で少し離れた体育館に行くのに時間がかかり、自分が遅れたせいで、連帯責任といって自分以外のクラス全員が走らされてしまったこともあった。先生も医者も自分のいうことを信じてくれなかった。修学旅行は迷惑をかけるからと母親が付いてこなければいかせられないと言われ、母が付き添いで来た。結局体調不良のため中高一貫校の進学をあきらめ、自分だけが友達とは違う高校に通うことになり悲しかったことなどの体験を訴えました。もう一人の原告さんも3回接種後に不調がでて、音符がわからなくなり3歳から続けてきたピアノを辞めざるを得なかった。お風呂もトイレも食事も母親の介助が必要になり、母親は仕事を辞めざるを得なかった。文字は見えるけれど意味がわからない。電子レンジの使い方や傘の閉じ方、両親の顔がわからなくなった。倦怠感がひどくてまったく何もできなかった。お風呂は母の介助で入るけれど、ふらついたり、急に具合が悪くなるため月に1回しか入れなかった。大学に入学したけれど、卒業できるような状態ではなく5年間属していたけれど、単位は一つも取れずに去年退学したなど、とても辛い体験を語りました。

それぞれの陳述の後には被告側の弁護士からの質問に答えますが、その質問が重箱の隅をつつくように、診断書の小さな記述から、本人が学校に行きたくなかったという答えを引き出そうとするものでした。小学校5・6年生の時に同級生にからかわれていたのではないか、中1の時にクラスに友達がいなくて学校に行きたくなかったのではないか、だから学校に行きたくなかったんでしょうなど、同じような質問が延々と続きました。このような質問に原告さんは誠実に、それは違うということを訴えました。

原告さんは陳述で疲れ具合が悪くなるため、度々休憩をとりながら裁判が進みました。原告さんの言葉にある真実と被告のひどさが際立つやりとりで、裁判官や傍聴者はそのことがはっきりと認識できます。でも、この裁判を傍聴できるのは50人程度でしょうか。薬害にあって普通の生活ができなくなり、その薬害を証明するために長年にわたって自らが裁判で訴え、勝たなければ認められない事実。今、積極的に勧められているHPVワクチンでこのような事態が起きていることを多くの人に知らせなければと強く思いました。

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