何より深刻だと思ったのは、施設で働く職員の不足です。そのためにおこる労働過剰と疲労、それは当然利用者への接し方に跳ね返り、利用者の方たちは人として尊重されているとは言い難い状況におかれているのを目にしました。
その方たちの多くは自宅が施設から遠く離れているので、入所にあたってそれまでの人間関係も絶たれてしまうことになります。そうせざるを得ない状況があるにせよ、考えさせられました。
その後、ヘルパーとして利用者のお宅を訪れる仕事を始め、住みなれた家で、地域で人生の最後まで暮らし続けることが人にとって何よりの幸せなのではないか、と思うようになりました。
障がい者や産後のお母さん、高齢者の方々のお宅を訪問し介護や家事援助する活動を通して、社会的に弱い対場におかれた方々の生活の現場を多く見てきました。その方たちがどうしたらもっとその人らしく、いきいきと地域で暮らし続けていけるのか、深く考えるようになりました。
これから高齢者がもっと増えていくなかで、多くの方々が自宅で暮らし続けるためには地域で訪問介護に携わる人材の確保が最重要です。ところが介護者の待遇は世間の相場からは比較できないほど低く、若いヘルパーは結婚どころか一人暮らしを維持することも難しいのが現実です。
介護従事者の待遇を他の職種並みに改善し、若いヘルパーがこの仕事を職業として続けていこう、と誇りをもって思えるように変えていかなければなりません。