HPVワクチン薬害の裁判を傍聴して
12月5日は3年ぶりにHPVワクチン薬害の裁判が公開で行われ、傍聴しました。この日意見陳述を行った56番さんは12歳の時にサーバリックスを3回接種し体に異変が起こりました。接種前はドッチボールや水泳、ピアノ、読書が大好きで元気な子どもだったそう。中学になって月経不順から始まり、様々な症状が現れ、進学校に進んだにもかかわらず大学受験ができず、自分の存在意義が見いだせなくなったそう。薬害の苦しみは副作用だけではありません。ワクチンの副反応ではないかと口にするだけで嫌悪され、平等な診療と治療を受けられず、放置される状況は人としての尊厳を奪われたと語りました。真実を訴える原告の話は裁判長をはじめ、その場にいたすべての人の心をつかむのがわかりました。
同じ被害で苦しむ人を増やさないために、そして被害者が真の意味で救済されるための裁判官への呼びかけは確実に心に届いたと思います。
それに比べると被告の製薬会社の代理人弁護士の陳述は、若い女性に子宮頸がんが増えているから(実際には増えていないことは厚労省のデータで証明されている)このワクチンが必要など、被害者はいないかのようにこれまでの話をただ繰り返し、自分の話はどんなに説得力がないと感じられても、どうせ裁判の傍聴者は数十人だから構わないと思っているかのようなものでした。
裁判が終わり、報告集会の場で56番さんが、涙ながらの辛い意見陳述だったけれど、自分の力を出し切れて良かったと晴れやかに語ったのが強く心に残りました。
被害者の女性たちは長い時間社会と切り離され、家族の介護を受けて暮らしていることで、自分の存在意義がわからなくなることがあるとの言葉も聞かれました。でも、自分の状況を言葉にする辛い作業に長い時間を使い、非難されながら薬害を訴えること、それは同じ薬害にあった仲間の救済でもあり、他の人を同じ被害に遭わせたくないという純粋が気持ちからの行為は、周りの人の心を打ちます。私はその現場にいた者として、これを多くの人に伝えなければと毎回強く思わされるのです。